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僕はスズメ、人と暮らしています

足の不自由なスズメ の「キリン」と、初めてスズメと暮らすことになった「豆さん夫婦」の試行錯誤な日々を、スズメの目線で綴っています。

生きるパワー

豆さん夫婦の話

今日はメーさんのお話です。

 

今から25年ほど前のメーさんは「仕事が命!」「仕事の能力があってこそ意味がある!」的な、今から考えたら本当に「感じ良くない、バランス感覚のない、ゆとりの無い、人に優しくない…」つまり、「嫌なヤツ」だったのです。

その人生観が180度変わったのは、怪我をして入院をした時の患者さんたちとの出会いでした。 

 

特に親しくお付き合いさせていただいた一人の患者さんは、メーさんより12歳年上の素敵な奥様でした。

長い寝たきり生活を乗り越えた後も、毎日の発熱、全身の痛み、日に日に動かなくなっていく体を抱えた奥様でした。(当時、奥様は40歳代前半)

その奥様とは、病院内を一緒にお散歩したり、病院食を奥様の個室に持って行って二人で食べたりしながら、たくさんお喋りをしたそうです。

「私には、大きな花束はいらないの。この1本のバラの花でいいのよ。」「私は貴女みたいに生きるパワーが無いから、『静かに、ゆっくり』でいいのよ。」「私はあと10年は生きないから。今、自分で出来ることがあるから、それをゆっくり楽しんでいくわ。」などなど…

 

当時のメーさんは、お花の美しさも分からないワークホリックだったし、仕事にしか生きている意味を見つけられていなかったんです。

メーさんは「人によって『生きるチカラ』は違うんだ。ロウソクが暗闇を照らすように、ひっそり静かに命を燃やしている人もいれば、中華料理店のコンロのようにゴーゴー音を立てて燃えている人もいる。」その気付きに一番驚かされました。

「自分の人生の終わりをハッキリと予感しながら生きていく」ということがどういうものか、それも想像もできなかったので、奥様との会話は全てが心に沁みていきました。

メーさんは、そういう世界をそれまで知らなかったのです。

「自分も、もっとゆっくり生きてもいいのかも知れない。仕事だけが人生じゃないのかも知れない。」

そんな当たり前のことを、その時、初めて感じたそうです。

 

半年後、何とか動けるようになったので職場復帰した時、メーさんが感じたことは…。

「仕事に戻れた喜び」と…、「自分が休職していても職場は平然と機能していたことに、少しショック…自分なんかいなくても、どうってことなかったんだ…」

そして考え方を変えました。

「仕事は誠実に精一杯するけど、一歩下がって、立ち止まって『一輪のバラの美しさ』を感じられる生活をしよう。」 

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ものの見方、考え方全てが変わった、人生の大きな転換でした。