メーさんは今から20年ほど前に、右膝の大怪我をしました。
と言っても、「内側側副靱帯断裂」という比較的オーソドックスな怪我のはずだったのですが、幾つかの不運が重なって、結局歩けるようになるまでに4回の手術を受け、3年もかかってしまったそうです。
今でもその時の不運な手術の後遺症で、膝は不具合なままですが「あの時の手術がなかったら、私は歩くどころか立つこともできなかったんだし、先生のおかげで20年間普通っぽく暮らせたのよ。」と言っています。
さて、1回目の、成功とは遠いところにあった膝の手術の後、お医者さんは「膝の手術は『手術40%、リハビリ60%』」と言われたので、メーさんは痛くて孤独なリハビリを頑張ったそうです。
結局、その時のリハビリでメーさんが出来るようになったことは「自分の右足を持ち上げることができるようになっただけ(メーさんは自分の足を持ち上げるだけの足の力も失ってしまっていたのです。)」だったのですが、リハビリ室に来て、どんどん快復していく他の患者さんを見ていて「リハビリは大切なんだ。」と思ったそうです。
そして、執刀医の技術とは全く関係なかった力ずくの2回目の手術の後、2ヶ月ぶりに膝を曲げた時の「体全体がほぐれていく快感」を経験し、「曲がるべきところは曲がり、伸びるべきところが伸びるように、リハビリすることは気持ちいいんだ!」と思ったそうです。
だから僕の足のリハビリにも余念がないのね。
僕も初めは足を触られるのが嫌でずいぶん暴れたけど、今ではおとなしく居眠りしてるので「やっぱり気持ちがいいに違いない!ウンウン」とメーさんは悦に入っています。
相変わらず、僕の指はあまり伸びないけど、固まっていた親指の関節は確かに柔らかくなったね。
鳥カゴに止まる練習もしてるし、理学療法と運動療法を続けて、僕の足がこれからどうなっていくのか、少し楽しみでもあるんだ。
きっと出来ることが増えていくに違いない、と思ってるんです。
「スズメのドヤ顔」