室内で遊ばせてくれる時、僕はまっしぐらにお気に入りの本棚の上に行き、ぐるぐると部屋の中を旋回し、水浴びをしたらメーさんの手の中で羽根を乾かし、豆さん夫婦の手の上でミルワームを食べ、僕と豆さん夫婦の信頼関係は深まってきたみたいでした。
初めは1時間ぐらいだった自由時間がだんだんと延びて、そのうちメーさんは僕を部屋に置いたままチョコッと違う部屋に行ってしまうようになりました。
この部屋の中はだいたい様子もわかってきたし、僕はメーさんの行く先が気になって仕方ないようになってきました。
でもメーさんはこの部屋以外には連れて行ってくれません。
仕方ないので、僕はもっとこの部屋の隅々まで調べてやろうと思いました。
怖がりなのに狭いところに頭をつっこむのは大好きです。
ある時、僕は窓と障子の間に入り込んで抜け出すことができなくなってしまいました。
下の隙間から入ったんだけど、抜け出そうと飛べば飛ぶほど出るところがわからなくて、パニックになってしまいました。
そして考えたことは「豆さん夫婦が僕を困らせている!」
豆さん夫婦が部屋に入ってきて僕を助けてくれた後も、僕はもう豆さん夫婦の手に乗ることができなくなってしまっていました。
豆さん夫婦は僕を鳥カゴに戻すのを諦めて、僕は一晩を過ごすことになりました。
夜遅く、豆さん夫婦は僕の悲鳴を聞いていましたが、どうすることもできず、朝がきました。
朝一番に豆さん夫婦は僕の名前を呼んで僕を探していましたが、僕は黙っていました。
ただ、ジタバタしていたので、ガサガサという音が聞こえていたみたいです。
お気に入りの背高本棚のどこかで音がしたので、メーさんは中の本を全部抜いたみたいですが、僕を発見できません。
次に脚立と懐中電灯を持ってきて、本棚と後ろの壁の間を上から覗き込みました。
その時、僕の目が懐中電灯の明かりに照らされてキラリと光ったそうです!
メーさんは「いた、いた!」と叫びながら、本棚を少し前にずらしました。
僕は本棚と壁の隙間をずり落ちながら羽根をばたつかせて明るい方に移動しました。
マーさんが「顔が出てきた!」と言ったみたいです。
僕は身をよじらせて外に出て、羽ばたきました。
でも部屋を一周して扉にぶつかって、マーさんの目の前に墜落してしまいました。
僕はマーさんに抱き上げられて、すぐに鳥カゴに返されました。
本当は、とても怖い思いをしたのだから暖かくて優しい手の中で甘えたかったのだけど、そんな僕の気持ちは分かってもらえませんでした。
僕は言うことを聞かない悪いスズメになったみたいでした。
それからは鳥カゴの中だけが僕の生活のすべてになりました。